呼吸器疾患について

呼吸器感染症

種々の微⽣物により気管⽀、肺、胸膜に感染症を起こしますが、それらを、各々、気管⽀炎、肺炎、胸膜炎と呼びます。肺炎の原因微⽣物として最も多いのは肺炎球菌という細菌ですが、他にレジオネラ、マイコプラズマという細菌も⾒られます。

肺結核は近年増加傾向で、喀痰の中に結核菌が多数⾒られる場合(排菌がある場合)には隔離⼊院が必要になります。そうでない場合には⼊院は不要なことが多く、 通院、内服治療で治癒が可能です。早期では⾃覚症状はほとんどなく、検診などの胸部レントゲン検査で偶然発⾒される場合もあります。肺結核になりやすい⽅には、糖尿病の⽅、ステロイド治療などにより免疫⼒が低下している⽅、胃切除後の⽅、昔に肺結核を患ったことのある⽅がありますので、そのような⽅は⼗分な注意が必要です。早期例の診断には気管⽀鏡検査が必要になることがあります。

最近では⾮結核性抗酸菌症(NTM)と診断される⽅がいます。NTMは結核菌と同じ抗酸菌という性質を持ちますが⼈から⼈に移ることはありません。検診での胸部X線写真での異常を指摘されて診断に⾄る⽅もいます。診断がついた場合は抗⽣剤を組み合わせて服⽤する治療を⾏うことが多いです。

肺癌

肺癌では、組織型、進⾏度(病期)を正確に診断することが治療法の選択に重要です。当科では、診断のためには、主として気管⽀鏡下の

⽣検(組織検査)を⾏っています。肺癌は、⾮⼩細胞肺癌と⼩細胞癌に分けられ、両者で治療⽅針が異なります。

⾮⼩細胞がん

発⽣頻度が⾼いのは⾮⼩細胞肺がんで、腺がん、扁平上⽪がん、⼤細胞がんに分類されます。中でももっとも多いのが腺がんで、⼀般には「肺腺がん」ともいいます。

組織分類多く発生する場所特徴
腺がん肺野・肺がんの中で最も多い
・症状が出にくい
扁平上皮がん肺門(肺野部の発生頻度も高くなってきている)・咳や血痰などの症状が現れやすい
・喫煙との関連が大きい
大細胞がん肺野・増殖が早い

⼩細胞がん

⼩細胞肺がんは、⾮⼩細胞肺がんと⽐べて増殖速度が速く、転移や再発をしやすい腫瘍です。

組織分類多く発生する場所特徴
小細胞がん肺門・肺野ともに発生する。・増殖が早い
・転移しやすい
・喫煙との関連が大きい